自分の大切な子を里子に出す気持ち。
とても複雑なものがありますよね。
自分では飼えない、でもお嫁に行くその日までは大切にわが子だと思って育てます。
絶対に幸せになってもらえるよう、自分以上に幸せにしてくれる里親を探したいものです。
では、どうしたら、大切なこの子を愛情いっぱいに育ててくれる人に巡り合えるのでしょうか?
愛情を測るには、ハードルを置け!
この人は本当にこの子にこだわりを持ってるのだろうか?
本当に大切にしてくれるだろうか?
これを測ろうと思ったら、たどり着くまでにちょっと頑張れば超えられるはずのハードルをいくつか置き、
「超えようとするか」
「ちゃんと超えてきてくれるか」
それで測るのが一番手っ取り早いです。
「それ、本当にやらなきゃダメですか?」
「なんでそんなこと必要なんですか?」
と、ハナから超えることを避けようとする方は、そもそもお話しになりませんね。
真っ先にお断りして良い方だと言えます。
ポイントは「ちょっと頑張れば超えられる」程度のハードルであること。
また、猫ちゃんにとって意味のあるハードルであること。
窮屈なだけでなく、楽しく超えられるハードルであることも大切です。
ハードルを置くことでのメリットは、愛情の強さを測ることができるだけでなく、
じつは「愛情を育てる」力もあるんです。
突然ですが、あなたは過去に大切な人にプレゼントをあげたことが有りますか?
何をプレゼントしようかとあれこれ悩むとき、どうにか喜んでもらおうと「あーでもないこーでもない」と工夫をしたり、遠くまで探しにいったり、人によっては手作りしたりしたのではないでしょうか。
その瞬間、あなたは何を考えて時間やお金をそこに使いましたか?
大好きな相手が喜んでくれるかな?
自分を特別だと思ってくれるかな?
そんなことを考えながら、もっともっと相手に対する思いを強くしたのではないでしょうか?
里親さんにハードルを楽しく超えてもらうことは、これと全く同じ効果があります。
ここにお金や時間をつぎ込めばつぎ込むほど、猫さんへの思いを強くし、より大切にしようと思うのです。
上手にハードルを置いて里親さんの愛情を育てることは、猫さん自身の価値を高めることにつながるのです。
では、実際にはどんなハードルを置いたらよいでしょうか?
①医療費の負担をお願いする
お世話をするのは、タダではありませんよね。
保護したその後には病院で簡単な健康診断を受けて、ノミダニ退治、虫下しをして、風邪を引いていれば治療してやり、ウィルスチェックやらワクチンやら避妊手術やらなんやらかんやら…
少なくても数千円~多くて数万円の医療費がかかっている、これも全て猫さんが幸せに里親さんの元に行くためですよね。
この費用、一部の負担を里親さんにお願いしてみましょう。
もちろん、何にいくらかかったうちのどのくらい?というのを明確に提示して、何なら領収書等が見せられる状態にしておくとよいです。
しっかりとこのあたりの事前説明があれば、大切にする心意気のある里親さんなら快く応じてくださるはずです。
②どんなに遠方の人でも、事前に必ず会いに来てもらう
これは「お見合い」と呼ぶことがありますが、きちんと本物に会ってこの子と暮らしたいと認識してもらうために、必ず事前に落ち合い本にゃんと対面するということは必ず行った方が良いです。
また、動物をむやみに移動させることは本人の負担になりますので、決定するかわからないお見合いでは基本的に里親希望者に来てもらうことが基本です。
ハードルとしての意味合いですが、これは、遠方であればあるほど効きます。
遠い自宅から、交通費と時間をかけて、わざわざ猫に会いに来てもらうのです。
このハードルをクリアされる方は、ほぼ9割が飼いたい気持ちが強く、また飼育に必要な準備はどんなにお金がかかってもする準備がある方であると言えると思います。
ここで間違ってしまいがちなのは、その場で猫を引き渡して貰えると思っている人がいることです。
これは、絶対にやってはいけません。
会ってお話しして、その場で良い人だと思えてしまうと、もう良いのではないか?とついつい渡してしまいたくなりますが、ここはグッと我慢です。
ここをクリア出来たら、次のハードルに移りましょう!
③引き渡し時は、訪問して飼育に適切な環境かをチェックする
これ、皆さんも想像すると抵抗があるのではないでしょうか?
家にやってきて、ずかずか上がりこまれて、あそこはダメだ、ここは直せとチェックされるわけです。
イヤですよね~。。。
でも、これは、必ず譲渡者としては行っておくことをオススメします。
たとえそれが、どんなに遠くのお宅であってもです。
まず、そもそも最初に約束事など適当にハイハイと返事をして、実際に守るつもりのない不誠実な人は、これを良しとしません。
更に、最近は虐待を目的とした里親希望者もいますが、こういう輩は家に来ることを良しとすることはまずあり得ません。
このため、これをするだけで、不誠実な相手の手に渡ってしまう可能性を減らせます。
家を知られていること、自宅の中を見られていることでの、譲受者の緊張感は全く違います。
つっこまれないようにしっかり準備をされておくでしょうし、その後のお付き合いも続けやすいと思います。
もちろん、行って話した結果、ここはちょっとヤバいかも、話と違う、おかしいな。。。と思ったら、猫を渡さず連れて帰ってくる勇気も大切です。
筆者自身の経験ですが、まだこうした譲渡の取引を始めたばかりの頃に、上記②③を怠ったばかりに、譲渡先で子猫を死なせてしまったことがあります。
詳細はまた別途お伝えできればと思うのですが、本人にしっかり事前の見合いに来れる経済的・時間的能力があることを確かめ、自宅に上がって中を見さえすれば、見抜けたであろう不適合を見抜くことができず、上辺の人の好さに騙されてしまい、子猫を渡してしまったのです。
誰でもいいからとにかく貰ってくれと、焦ってしまった結果です。
皆さんには、このような後悔を絶対にして欲しくありません。
④審査期間を設ける
③で引き渡し、そのまま譲渡とはせず、トライアル期間を一定期間設けましょう。
表向き、里親さん側で本当にやっていけるか?を見極める期間としていますが、保護主の皆さんが「この里親さんは本当にこの子を大切にしてくれる人だろうか?」をジャッジするためにも存在します。
最初に決めた連絡ペースが遅れがちである、写真に不信な点がある…など、本当に長くお付き合いしていけそうか?は、ここで見極めるチャンスがあります。
もしも猫に危険が及びそうと感じられれば、トライアルは終了してすぐに連れて帰ることも大切ですし、トライアルの結果として譲らないということも、この段階では可能です。
しっかり約束を守ってもらえない場合は返却頂きますというプレッシャーをしっかりかけながら、真摯にトライアルに向き合って頂けるように、「トライアル中のお約束」を書面で取り交わしておくと、これも良いハードルになります。
⑤譲渡誓約書をとりかわし、正式譲渡とする
トライアル期間を無事にクリア出来たら、晴れて正式譲渡の契約を結びますが、ここで最後のハードルです。
ここでは必ず、正式譲渡後にも守って欲しい約束ごとを書き記した、譲渡誓約書の取り交わしを行います。
ここまで来て、嫌がる方は中々いらっしゃいませんが、これをしっかり結んで置くことでどちらが何に対してどこまで権利があるか?をはっきりさせることができ、以後のお付き合いを距離感を保った気持ちの良いものにすることができます。
最後に
いかがでしたか?
初めて動物の譲渡を行う方にとっては、少し難しいのでは?反対にもらってもらいづらくなるのでは?と感じられる方もいるかもしれません。
しかし、筆者自身はこれを実践しながら、全ての保護っ子達がちゃんとお嫁に出ていきました。
すべての子に、ちゃんと運命のお家は見つかるんですね。
ですので安心して、勇気を出してこの方法を取り入れて頂ければ幸いです。
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