関係を構築する上で、必ず理解しておいて頂きたい事
すごく大切なことなので、まず第一にお伝えしておきたいことがあります。
里親さんとの関係を良好に構築するには、「変に下手に出ない」ことに尽きると思っています。
「相手の要求を飲まないと、貰ってもらえないんじゃないか?」
「貰っていただくんだから…」
こんな思いで、ついつい相手の要望を言われるがままに飲んでしまいがちです。
更に、日本人はなぜかおもてなしが大好き。
「この子を貰ってくれるような神様のような方、より良い気分になっていただこう!」と思ってしまうのか、
あれも持っていきなさい、これもつけちゃう!よいよいよいよい…と、
謎のおまけをたくさん着けて歓迎を表現しようとしてしまいます。
これらはすべてNGです。
おもてなし精神は、特に命のかかった契約ごとではあなたを不利にするだけなので、今すぐ捨てましょう。
足元を見られるようになるとどうなるか?
主導権の握りは、最初が肝心です。
一度無理を許してしまうと、相手に罪の意識があるかどうかは別として、要求がどんどん高くなってしまいます。
譲渡後は猫さんをちゃんと扱ってくれるか?という不安もあって、余計に足元を見られるようになります。
例えば、途中で体調を崩したときに「最初から体調が悪かった、医療費を払え(さもなくば病院に連れて行かない)」などと要求されることもあります(筆者の実体験です)。
他にも、「こんなに大きくなるとは思わなかった、話が違う」等、譲渡者が里親希望者を甘やかし、言いたいことを全て聞いていた結果、生き物を飼うときに当たり前に持つであろう責任・自覚を奪ってしまい、モンスターに育ててしまうことにもなりかねません。
「貰っていただく」というおもてなし的考え方
皆さんから見ると「貰っていただく」ですが、実は里親希望者は「譲ってもらいたくて仕方がない」人たちです。
この受容と供給が一致したところに、こうしたマッチングが存在するだけなんです。
貰いたいという方を神様のように見る必要もないですし、譲渡が成立していない時点では、猫さんはあなたの所有物なんです。
ですので、誰に譲渡するのか、本当に譲渡するのか、それはあなたが決めて良いことです。
誤解を恐れずに言うなら、そこには差別や偏見があっても問題ありません。
この人のことは個人的に信用出来そうだからこの人に譲渡しよう
この人は話をちゃんと聞いてくれるしお金持ちだから、この人に譲渡しよう
この人は最初に名乗り出てくれたけど、ちょっと苦手なタイプで付き合い難しそうだから譲渡しないでおこう
この人は文化圏が違って意思疎通が難しそうだから止めておこう
全て、あなたの尺度で良いです。
保護主のあなたに決定権があるです。
そして、あなたの決断が猫さんの将来を決めます。
じゃあどうしたらいいか?
「良いことは良い、ダメなことはダメ」と、ちゃんと言う、ただただそれだけです。
基本的に、里親希望者はとても良い方が8割です。
お相手も不安でしょうし、変に威圧的になる必要はありません。
「こういう飼い方をしてほしい」
「こういう風には絶対にしないでほしい、なぜなら猫さんがこうなってしまうから」
「今はこうだけど、将来的にどう成長するかは未知数であり、一度家族になった以上は最後まで可愛がって欲しい」と、ちゃんと説明します。
その中できちんと合意が取れる方を選別し、誠意を持ってお付き合いをすることが大切です。
質問や不安には寄り添って向き合ってあげましょう。嘘はつかず、約束事は守りましょう。
里親希望者がわざわざしてくださったこと、条件を飲んで苦労して準備してくださったこと等には心からお礼を言い、それで正解、素晴らしい、と認識させてあげましょう。
こうした当たり前のことを守るだけで、意外とちゃんと関係は作ることができます。
その結果、やっぱりこの人は合わないなと思ったら、「残念ですが合わないようなので、今回のお譲りはいたしません」と関係を終了するだけでOKです。
中には、例えば禁止事項に対して、「何でダメなのか!自分はずっとこうして来たのだから許可するべき」
と、なんとか許可させようとがんばってくる人がいます。
たとえば、「完全室内飼い」という約束事に対し、「外に出さないと可愛そうではないか!」とか「昔は皆外に出すのが当たり前だった、猫は外で飼うものだ!」とか。。。
お話しになりません。
ご自分の立場を完全に勘違いしています。
その猫さんを譲って欲しいなら、その猫さんを今保護している側の条件を、里親希望者がのむべきなんです。
そういう飼い方をしたいなら、それを許可してくれる譲渡者の中から、自分が飼いたいと思う子を、里親希望者が探せばいいだけです。
あなたがそれを許可する必要はありません。
あなたの希望する飼い方に理解を示し、従ってくれる飼い主さんでないなら、勇気をもってお断りしてOKです。
最後に
実際に、悪気はない、考え方の違いだけで、どうしても合わない方はいます。
それはその方が悪いのではなく、しかしもちろんあなたが悪いのではない。
ただ、合わなかっただけ。
合わない人に無理に合わせて譲渡して、その後のお付き合いで長く苦しむよりも、猫さんを幸せにしてくれて、あなた自身も付き合いに苦労しなさそうな方は、必ずいますので、焦って渡さず、納得できる相手を見つけ、しっかり関係を構築することが大切です。
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