FIP(猫伝染性腹膜炎)とは

皆さん、猫伝染性腹膜炎、通称FIP(Feline Infectious Peritonitisの略)と呼ばれる猫の病気をご存知ですか?

致死率が高く、治療法も確立していない非常に恐ろしい病気です。

現在完治を目指すための様々な研究が行われており、効果が期待される薬剤も出てきていますが、2019年8月現在、まだ実用化には至っていない状態です。

 

そもそも、FIP(猫伝染性腹膜炎)ってどうしてなるの?

FIPとは、「猫腸コロナウイルス(FCoV)」の変異型です。

猫腸コロナウイルス自体はほとんどの猫が所持しているウイルスで、変異前の状態であれば無症状だったり、症状が出ていたとしても消化器疾患(下痢など)を起こす程度、命に関わることはほとんどありません。

そして、多くのケースでは特に変異することなく、猫は健康を保ったまま暮らすことができます。

しかしそれが、何かしらの原因で体内で変異し、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)となると、命に関わる様々な症状を引き起こすようになります。

このように、ウイルスが変異し症状が出た状態を、猫伝染性腹膜炎、FIPと呼び、現代医療での致死率は実に99%と言われています。

ただの猫腸コロナウイルスがFIPウィルスに変異する原因は、正確には解明されていません。

ただ、病気に冒された猫の多くの環境的要因を分析した結果として、「ストレス」の可能性が指摘されています。

 

FIPになる可能性はどのくらい?

前述の通り、「猫腸コロナウイルス(FCoV)」はほとんどの猫が持っているウイルスです。

ですので、あなたの大切な猫も、このウィルスを持っている限り発症する可能性があります。

この発症率は1/1000程度といわれていますので、みんながみんな発症するということはありませんが、日ごろから発症しないような工夫、発症した時に直ちに対応できるような備えをしておくことをお勧めします。

 

FIPの診断と種類について

FIPかどうかは、コロナウイルスの抗体検査の値と症状を総合的に見て診断されます。

FIPの初期症状は、元気がない、発熱、食欲不振など、風邪のような症状のため、まず間違いなく医師からは指摘されないと思います。

風邪などの治療を続けてもなかなか改善が見られない時に、精密検査・抗体検査を行ってみた結果、FIPを疑う…というパターンが多いため、判明時点ではある程度病気が進行している場合が多いです。

ですので、医師の診断を待つのではなく、飼い主自ら疑ってかかり、必要ならば医師に検査などの要求をすることも、視野に入れることをお勧めします。

 

FIPとひとことに言っても出てくる症状は個体により様々です。

大まかには「ウェットタイプ(滲出型)」「ドライタイプ(非滲出型)」があります。

 

ウエットタイプ

子猫や老猫に多いタイプです。

腹水や胸水が溜まり、目に見えてわかりやすい症状が出ます。

胸水が溜まった場合、肺が水により圧迫され呼吸困難になったりします。

腹水や胸水からコロナウイルスが検出された場合、間違いなくFIP発症と言えるでしょう。

 

ドライタイプ

腹水や胸水がたまらないタイプです。

非常に発見が難しく、ただの体調不良と思っていたら…というケースが多いです。

 

症状としては

  • 黄疸
  • 肉芽腫
  • リンパ腫、リンパ節炎
  • 下痢、粘膜便
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 元気がない(沈うつ)
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 歩行困難
  • 神経症状
  • ぶどう膜炎など眼病変

など様々です。

 

最終的には多臓器不全により死亡に至ります。

ドライタイプの場合、どの症状がどれくらい出るのかは個体差が大きくわかりづらい場合が多いです。

猫インターフェロンやステロイドでも下がらない高熱や治らない下痢がFIPの症状の始まりでどんどん悪化していく、というケースが多くあります。

 

もちろん一過性の発熱や下痢の可能性もありますが、FIPは刻一刻を争う病気です。

不安がある場合は早めに主治医に相談して検査を受けることをおすすめします。

 

まとめ

FIPは恐ろしい病気です。

FIPになってしまった猫にとってはもちろん、飼い主にとっても、金銭的・精神的負担の大きい病気です。

 

また、多くの動物病院では、FIPは死に直結する、何もできることのない病気として取り扱われ、ただただ症状の進行を遅らせる、緩和するという治療に傾倒しやすいのも事実です。

 

しかし、早期発見・治療で数年生きることができた子もいます!

まだまだ研究段階ではありますが、試せる薬剤も増えています。

病院の言いなりになるのではなく、飼い主である自分が諦めずに最後まで治療をしていくことが大切だと思っています。

ここでは、そうした、患者・飼い主側が積極的に動くための手段や成功例などをご紹介していときたいと考えています。

 

いつかFIPを不治の病と恐れる必要がない日が、1日でも早くくることを祈って。

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